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2024.09.17

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平田エッセイvol.2:田舎戦略!6次産業の最適な価格

こんにちわ。平田です。
ついに僕も第2話を書かせていただけることとなりました。ありがとうございます。

第1話を書いてみての反響は、岐阜のデザイン会社、株式会社FLAGの藤橋社長様から、別件の仕事の話をしている電話口で、口癖のように会った人みんなに何回も言っているであろう「すごい!天才!」という2フレーズを頂いたものしか、僕の耳に入った口コミはまだありませんが、それも有り難い1票ということで、書き始めます。

最近の広告のお仕事の中で、生産者のお客様から「こんな商品作ってみたんだけど、いくらで売ればいいかな?」という相談を受けましたので、今回は 物販商品の販売時の値決め について、思っていることをお話しします。
おそらくこれを見る方はみなさまは立派なビジネスマンで、それはもうさぞかしせっかちな方も多いと思いますので、結論から。

上代は、自分が思っている倍つける」です。

もうこの時点で上代って何の話してるの?!みたいな方は、おそらくもう完全に別業種の方だと思うので、そっとこのページを閉じ、自分のInstagramに流れてくる友人のフィードに対して、興味もないけどイイネをつけてあげる活動に戻ってください。ごめんなさい。次は必ずご興味のある内容を書きます。

では、本題!

最近、バームクーヘンに縁があるので、わかりやすくバームクーヘンを作った!とします。
せっかくバームクーヘンを作ったんだから、よし売ろう!と。
いろんな売り方があります。
・自店舗、自販機で販売
・自社オンラインサイトで販売、楽天などのオンラインモールで販売、ふるさと納税返礼品に登録
・イベントなどで催事出店
・小売店などに卸売
自店舗で売ろうかな、でもうち、販売スペースもないな、駐車場もないかも。販売スタッフも立てるの大変だな。売るための設備や什器も買わないといけないな。
だったらSNSでPRして、オンラインサイトで売ろうかな。SNSでフォロワーってどうやって集めたらいいの?え、楽天って月額5万円かかるの?配送ってどうやってやったらいいの?は?めんどくさ!
イベント出店って、出店にお金かかるの? その時の販売スタッフもいるし、イベント土日だしできるかな?
結論、結果がでるまで続けるのが、結構難しいはずです。広告制作としては、この辺はすごくありがたいお仕事に繋がりそうなところですが、はっきり言いますが、結構めんどくさいはずです。
特に6次産業の場合、みなさま、他にも1次、2次の仕事もありますから、人的にもなかなかしんどいはずです。
(ただ、これが軌道に乗ると一番利益率は高いです。後述します。)
となるとどうするべきか。
やっぱり卸先を増やすのが、僕としては一番固くて最適解だと思います。小売や卸売ってやっぱりその道のプロですから。餅は餅屋のものが美味しいです。

では、バームクーヘンの場合、お土産、お菓子カテゴリということで、ホテルや旅館、行政施設、駅、PAなどに営業し、置いてもらえるように交渉をしよう!という話になります。
(それぞれの小売店への直接営業が大変であれば、卸売業者さんに営業して、各小売店に案内してもらおう!という話になります。)
ここで話としてまず、大事なのは、やっぱり上代と卸値の設定です。
小売店も販売の人件費をかけて、場所を設けての商売ですから、上代と卸値の差額が小売の利益になります。
いくらくらいなら土俵に乗りそうか、ですが、僕の肌感ですが、優しいところで、上代の6掛〜7掛けの卸値で、委託販売。このあたりが限界だと思います。
7掛け、買取でOKみたいな所を見つけたら、もう神様だと思って、そのお店の外観を自分の携帯の待ち受けにしてあげてください。
お店側が買い取らないといけない、となると、賞味期限があるもの、特に短いものはロスになるリスクがありますので、買取は嫌がられる場合が多いです。なので、やっぱり委託。
例えば、上代の5掛け以下で卸してくれて、委託販売で!となると、小売店は頑張って売ろうと思ってくれると思います。だって、商売ですから。
ということを考えると、商品の値決めには、あらかじめこの辺りを考えた上で、金額をつけないといけません。

例えば。
上代1000円のバームクーヘンの場合、いろんなものを含めた原価(400円)+自社利益(100円)+中卸利益(100円)+売店利益(400円)
最低限でこれです。
こういう構造を想定した上で、値決めをしておくと、販路に可能性が見えてきます。
この利益分をどれだけ余裕を見た上代設定ができるか?が大事です。
※先ほどの自社で販売する場合は、中卸利益(100円)+売店利益(400円)が自社の粗利にできるので、利益が出やすいはず、という理屈です。

結構こちらを考えず、400円くらいの原価だから、大手の価格帯とかを考えて、お客様(エンドユーザー)の買いやすい値段設定で、600円を上代にしよう!みたいにつけてしまうと、小売店が利益が取れる幅がなくなりますので、販路が途絶えます。
また、1回600円という金額をつけて、自店舗でもどこかで販売した実績があると、どうしても、販路拡大時の値上げが難しくなります。
例えば、自店舗を持っている場合だと、自店舗では600円でバームクーヘンが売っているのに、ここのお店で買うと1000円もする、みたいな印象をお客様に持たれ、せっかく仕入れてもらった小売の方にクレームが来るかもしれないからです。
もうすでに、この安値での販売実績があり、値上げが難しい状況になってしまっている商品がある方への提案としては、今の商品は、自店舗がある方は自店舗販売用の廉価版商品というカテゴリにしてしまって、ほぼ全く同じものをパッケージだけ変えて、新たに上代を上げた商品を、例えば「極バームクーヘン」みたいな名前に変えて、そちらを卸用にして販売するのはどうでしょうか。
さすが私、藤橋さんに褒められただけある悪魔的天才の発想ですので、最終ジャッジは自己判断でお願いします。
いろいろなことを考えて最初の値決めってかなり大事ということが伝えたいことでした。

ここからはステルス営業的なお話になるのですが、今の話、400円の原価のものを最終のお客様は1000円で買ってもらわないといけない商品ということになります。
ということは、1000円の顔の商品でないと売れないということです。つまり商品力です。
また、400円の原価の商品を1000円の価値を提供できないと、奇跡的に初回売れたとしても、リピートに繋がらないということです。
ここで、広告の話になってきます。
1000円に見せるために、宣材写真や映像、パッケージ、POPやフライヤーなどで、しっかり商品の良さを伝えることって大事だよね、という、商品ブランドの構築やツールが必要だよね、という話になったり、売店で目についたから買おう層ではなく、その商品を買うために売店にきた層を増やす、SNSやWebなどでのプロモーションの話になったり、売ってもらう小売先をリストアップして、そこに営業するためのツールという営業販促の話になるわけですね。
これも全て、広告費として原価に含めて考えないといけません

まとめとしては、販路開拓の可能性を残すために、まず上代を上げ、原価からの積み上げで算出ではなく、価値としてその金額でも買いたいと思う商品に、中身も外側も育てていかないといけないと思っています。
あ、ちなみに弊社、小林淳さんと共同で月城バームクーヘンという1つ1500円という高価なバームクーヘンを県内で販売しています。
上の書いてあることは一旦無視して頂いて、全然どこも利益のない原価100%近いとても美味しいバームクーヘンです。
ぜひ見つけたらお買い求めくださいね。

それではまた次回!