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2025.05.25

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平田エッセイvol.9:起業のススメ – コミュニティの重要性と危険性 –


こんにちは。
エッセイもついに第9話になりました。

前回はAIについて書かせてもらいましたが、あれを書いたあと、
AIセミナーに出てみたり、自分でもAIサービスを導入して試してみたりしています。
「プラウドAI」というツールも買って、ちょっとずつ遊んでいるところです。

皆さんにも使えそうな形に落とし込めたら、第10話あたりで紹介できればと思っていますので、もう少しだけ試させてください。


さてさて。
第8話の中でも書きましたが、AIが出てきたことで今後重要になるのは、
「営業力」、「現場力」、「人間力」じゃないかな、と思っています。

そのうちの「営業力」と「現場力」は、なんとなくイメージしやすいと思います。
じゃあ「人間力」って何だ、という話なんですが、僕の中ではこう定義しています。

まったく同じ商品・同じ価格でサービスを提供していても、「なんとなくこの人から買いたいな」と思わせられる力

つまり“可愛げ”です。
要するに、僕のことです。


「贔屓してもらえる環境」をつくるということ。

起業して最初にぶつかる壁って、やっぱり
・どうやって仕事を取ってくるか、
・そしてどうやってそれを継続させるか なんですよね。
この問題、想像以上に厄介です。

自分の商品やサービスに、クオリティでも価格でも、明確な“勝ち筋”があるならいい。
また、新規の受託後に囲い込みができるような仕組みがあるなら、それも強い。

でも、そういう企業ばかりじゃないし、僕の始めた広告サービス業もそうでした。
探せば似たようなことをやってる会社は山ほどあるし、業界内での明確な差別化って本当に難しい。


そこで僕が考えたのは、
「比較優位で戦うんじゃなくて、“贔屓”される環境に身を置いた方が早い」ということです。

その“贔屓される環境”の一つが、コミュニティなんじゃないかと思っています。


実際、コミュニティって全国に無数にありますし、ここ岐阜にも本当にたくさんある。
会社経営者の集まりでもいいし、スポーツや趣味の集まりでもいい。
それが本業のヒントや人脈に繋がるなら、正直どこでもいいと思うんです。


AIの進化によって、「営業力」、「人間力」、「現場力」がより求められていく中で、
こうした“人との関わり”を持っておくことは、やっぱり必要だと思うんですよね。

特に、会社の代表者って、この3つを“誰かに任せる”ことができない
もし、営業や現場対応を役員や従業員に任せきっていたら、その人たちが辞めた瞬間、詰みます。

だからこそ、自分自身がちゃんと人と繋がれるスキルや関係性を築いておかないといけない。

マーケティングにお金をかけたり、従業員に頼ったりする前に
時間はかかっても裏切らない“関係”を、自分の足でつくっておく。

僕はそっちの方が、最終的に強いと思っています。
やっぱり、コミュニティには入った方がいい。


たとえば、「人気店」って何だと思いますか?

もちろん、美味しいとか、安いとか、色んな理由はあります。
でも僕が一番しっくりきている定義は、“常連さんで回っている店”です。

うちの会社では、店舗のデザインや販促をサポートさせてもらうことも多いんですが、
個人的な感覚として、「看板もボロボロ、暖簾も色褪せてる、でも何十年もやってる」店って、大体当たりなんですよ。

なぜかというと、新規のお客さんを集める必要がないから。
つまり、常連さんだけで経営が成立しているということ。

それってつまり、「贔屓してくれる関係」を築けているということだと思うんです。

「どうぞご贔屓に」、という言葉、あれは
「ちょっとまずかろうが、提供が遅かろうが、贔屓目に見て次もまた来いよ」という呪文なのです。


そう考えると、起業初期に「贔屓される環境に身を置く=コミュニティに入る」というのは、
ものすごく合理的な選択なんじゃないかと、僕は思っています。


もう一つ、最近ちょっと驚いた出来事がありました。
先日、中日新聞で読んだんですが、岐阜のロータリークラブで巨額の詐欺事件があったそうなんです。

ロータリーといえば、言わずと知れた名門コミュニティ。
名だたる企業の方々が集まる場所で、正直、僕みたいな人間じゃ直接話す機会すらないような方々が、沢山いらっしゃる。

詳細は控えますが、記事を見る限り、「誰がこんな提案するんだ」ってレベルの話が通ってしまっていた。
これってまさに、“コミュニティの信頼性の強さ”を示す例なんだと思いました。

おそらく僕が同じ話をしたとしても、即却下だったはずです。

でも、そのコミュニティに“属している”というだけで、信用のハードルがグッと下がってしまう
しかも近くで誰かが契約していれば、それがさらに連鎖する。

これって冷静に考えると、ちょっと怖い。
でもそれと同時に、「コミュニティの影響力はここまで強いのか」と感じた出来事でもありました。

……そうでないことを祈りたいですが、もし意図的にやっていたとしたら、逆に商才すごいなとも思いました。


岐阜のような“地縁社会”が色濃く残る土地では、
顔を合わせて話せる関係性や、内輪感のある空気って、やっぱり強いんですよね。

そして、そうした環境に入れるのが、コミュニティの良さだと思います。
でも、コミュニティには“危険”もある。
良いことばかりではありません。

まず、コミュニティに入ったからといって、自分の能力が上がるわけでも、地位が上がるわけでもないです。

あくまで「チャンスを得た」にすぎない。
それ以上でも、それ以下でもありません。

でも、たまにいます。

「なんか自分、ちょっと偉くなったかも」みたいな顔をしちゃう人。
これ、ほんとに無意味なのでやめましょう

今の時代、ほとんどのコミュニティは新規メンバー大募集してます。
つまり、誰でも入れるんです。
だから入会の価値自体を過大評価しすぎるのは、危ない。


そしてもう一つの危険性は、本業以外の部分で悪い意味で“目立つ”リスクです。

「遅刻が多い」、「お金にルーズ」、「人の話を遮る」みたいな、本業とは関係ない部分で印象がついてしまう。
本業だけだったらそこまで問われなかったのに、
コミュニティに入ることで “素の部分”までさらされやすくなるというのはあります。

しかも、参加費や会費など、意外とお金もかかります。


じゃあ何のために入るのか?
やっぱり、“つながりの価値”を感じるからなんですよね。


でも、本業を犠牲にしてまでつながりを優先するようになってしまったら、それは本末転倒。
誰とどう関わるかは自由ですが、起業した以上は、軸は常に「本業」にあるべきだと思っています。


じゃあ、どうやってコミュニティと付き合っていくか?


ここまで、「コミュニティはいいよ」という話と、
「いや、ちょっと怖いところもあるよ」という話を両方書いてきました。
要するに、光も影もあるということです。

じゃあどう付き合っていけばいいのか。

僕が意識しているのは、「ちゃんと得るものがあるか」と、「ちゃんと還元できているか」の2つです。


まず、“得るものがあるか”。

これはもうシンプルで、何かしらの気づきとか、刺激とか、「よし、頑張ろう」って思える感情とか。
人と会って話すことで、少しでも自分の中に変化があるかどうか。
それがなければ、ただの時間つぶしです。うまくいけば飲み会、悪くすれば浪費です。


次に、“還元できているか”。

これは、自分の仕事や組織に、その学びを戻せているか。
「昨日の会で◯◯さんが言ってたこと、うちの仕組みに活かせそうだな」とか、
「この考え方、スタッフにも共有してみようかな」とか、そういう動きにつながってるかどうか。

得て、還元する。
このセットがないと、コミュニティって“趣味”で終わっちゃう


僕の中では、コミュニティは“ガソリンスタンド”みたいなもんです。

たまに立ち寄って、エネルギー補給して、気づきをもらって、また走り出す。
オイル交換してもらって、タイヤの空気入れてもらって、たまに雑談して帰る。

ただ、そこで寝泊まりしだしたら本末転倒。目的地に着かなくなります。

それくらいの距離感が、ちょうどいいと思うんですよね。


あと、もうひとつ大事なのは、「自分がそこでブレないこと」です。

どんなに偉い人がいても、どんなにすごい話を聞いても、
「でも、うちの場合はどうか?」って一度フィルターにかけられるか

そうしないと、コミュニティの中で“自分を見失う”ことにもなりかねない。


偉くなるために入るんじゃないし、仲良しクラブをつくるためでもない。
明日、自分がちゃんと立っていられるように。
そのために、“関わる意味がある”と思えるコミュニティにだけ関わればいい。

これが、今のところ、僕のスタンスです。


これから起業しようと考えている方にとって、「どんなコミュニティと関わるか」、
「そもそも関わるべきか」というのは、一度はちゃんと考えてみてもいいテーマだと思います。

人とのつながりは、武器にもなるし、時には足かせにもなります。
でも、それを正しく活用できれば、きっと大きな味方になってくれるはずです。



さて、次回、第10話では――
この1ヶ月で僕自身が「これは使えるんじゃないか?」と感じた、AI活用のリアルな実践例について、
いくつかご紹介していきたいと思っています。

それではまた次回、お楽しみに。